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4-2 アサシン

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ハルは思い出した。 小学生の頃のこうかんにっきも、いつも自分から始めようって言って、自分からやめてたんだ。ばかなハル。 ふわふわはどんどん大きくなっていた。 私が息をしたり、ココアを飲んだり、食べログで探した二つ先の駅前の上海飲茶のランチで失…

2-4 食べログ

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「 」 ハルにはたしかに聞こえた。でも聞こえたのは「 」の外枠、つまり、なんか喋ってるってことだけ。いつもと同じように、なかみの部分はなにもわからなかった。 「なに?」 念のため声に出して聞いてみたけど、神様は答えなかった。 映画はフルCGのアニ…

CHAPTER3 2 ブラックホール

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そのままわたしはわたしのなかのブラックホールに落ちていった。 持ってきたiPhoneがぬるりと手から滑り落ちて 拾わなきゃと慌てて手を伸ばしたそのとたん、 自分もぬるりと落ちた。 どこからも光は射してこない無限の闇と世界。 ブラックホールのなかは真っ…

CHAPTER2 1

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「不毛やな、その残業はだから不毛」 そう言いながらほとんど手をつけず冷めてしまったままにしている関西弁の若いサラリーマン二人のタリーズのTマークの入ったコーヒーカップを横目で見ながら、ハルはテーブルの上に出した家の鍵に「神様」をつけることに…

3

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じめつく汗がTシャツからぬけないのでお風呂に入ろう。そう思った。 お湯をためる間、裸になると、ものすごくへんなかっこうでくるぶしに貼ってあった絆創膏をはがした。絆創膏は湿っていて、ちょっと食べ終わったあとのグレープフルーツの皮みたいな匂いが…