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部屋の真ん中に置かれた観葉植物の分厚い葉に霧吹きで水をかけ、ふわふわのタオルで丁寧に拭く。

12月の午前の低い陽がぬらぬらと照らすそれの太くしっかりとした葉脈をひとつひとつ確認しながらうっとりとした気持ちでこの時間を過ごしている。葉っぱも僕も。

キッチンではやかんがシューシューと自己主張をする。

床に張り付いた腰をどうにか剥がして火を切り、やかんとマグカップを持って部屋の真ん中に戻った。

てっぺんにいるきらきらとした若葉を少し千切り、やかんに入れ、部屋中にいい匂いが漂うまでまたタオルで葉を拭く。

僕ももうずいぶん年をとってしまった。

玉手箱でも開けただろうか。

鏡のないこの部屋の中でそれを確認する術はないけれど指はしわくちゃだし、抜け落ちる髪の毛は真っ白だ。 

 

 

 

なんでなんだか今年の冬は長すぎる。

 

 

 

 

 〜ここでエンドロールが流れる〜

 

-とんでもなくゆっくりなテロップ

-聴いたことはないけどはっきりとわかるクリスマスソング

-画面にはホームビデオで撮った世界遺産